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( ・∀・)
(つ且と)
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(__)_)
(スタジオ)
国井:「すごいですね〜。四六時中音楽を聴く。よほどの音楽好きでないとできませんよね。」
膳場:「ですからあそこまで悩めるんでしょうねえ。」
国井:「では、次はいよいよ製品の完成です。」
AとBは連日、仕事が終わってからミーティングを繰り返した。
時には徹夜で仕事に挑んだときもあった。
AとBはその時も、音楽を聴いていた。
Aは営業の足を生かし、自分の意見に同調してくれる人を募り、
そのプロジェクトの人数はいつしか10人に、なっていた。
連日に及ぶ会議の末、一つの結論が出た。
「携帯用の音楽に迫力がないのは、振動にある。」
Aが出した結論だった。
確かに、イヤホンやヘッドフォンでは、家庭用のウーファーの振動は出ない。
しかし、その振動の迫力をだすためには相当の音量を必要とする。
音源と耳との距離が近すぎる携帯用ヘッドフォンだと、あまり音量を上げることはできない。
しかし、音量を絞ると迫力が出ない。
全員が、悩んだ。
その時、Aの会社の携帯電話下請け業者のCが言った。
「振動がないなら振動させればいい」
全員が、驚いた。
その意見にその場に居合わせた全員が一つの光明を見いだした。
早速、Aの同僚、Dが図面を引いた。
携帯用のヘッドフォンに収まるサイズの振動装置の割り出しを急ぐためだ。
大きさ、5mm。
絶望的な数字だった。
現代の大きさを考えても最高で10mm。
どう考えてもヘッドフォンに搭載できる大きさではない。
D本人:「さすがに図面を引いて愕然としましたよ。
こうもうまくいかないものなのかってね。」
しかし、Aの頭にはあるアイディアが浮かんでいた。
「携帯の振動装置を流用できないだろうか。」
翌日、Aは早速携帯電話の振動装置を取り出して寸法を測った。
大きさ、6.5mm。実用に耐えるサイズである。
しかし、ヘッドフォンには収まらなかった。
計画は頓挫した。
自分たちの給料からだしている開発予算も底をつき、
何とか会社から了解をもらい、製品化しないと計画自体が頓挫する。
それだけはさけたかった。
皆の心に不安がよぎった。
そのとき、Dが提言した。
「ヘッドフォンに納めなきゃいいんですよ。」
Aは今後この製品がたどるべきビジョンに確信を持った。
形態は普通のヘッドフォン、ミニプラグの部分近くにバイブレーション機能を持たせ、
その信号をリード線を伝わらせて振動させる。
技術的な部分させクリアできれば製品化できる。
AはBに尋ねた。
Bは言った。
「それならうちがやりますよ。」
一週間後、私財をなげうっての試作品が完成した。
ヘッドフォンから延びる振動のコントールユニット。
重低音にシンクロして振動するイヤーパッド。
ほどよく高級感があり、携帯性に優れるアーム。
唯一の欠点は振動のために別途電池を必要とすることだったが、
プレーヤーの電池の持ちをよくするという点で評価される物だった。
Aは早速、新商品のプレゼンテーションにこぎ着けた。
プレゼンテーション開始当初は出席者全員が一営業マンに何ができると高をくくっていた。
しかし、プレゼンテーションがすすむにつれ、出席者はその製品のすばらしさと、
なによりAの熱意に納得し、すぐに開発の手続きが取られ、Aはその責任者に抜擢された。
一ヶ月後、新製品が誕生した。
VMSS。バーチャル・モーション・シンクロ・システムの名前を冠した新型ヘッドフォンの誕生である。
(スタジオ)
国井:「さて、本日はAさんにもお越し頂いております。」
Aさん:「初めまして。Aです。」
膳場:「いや〜、やっとやりましたね!」
Aさん:「ええ、もう感無量ですよ! 初めて認められたというか、やってやったというか。」
国井:「素晴らしい技術と発想ですよね。携帯電話の物を流用するって言う。」
Aさん:「ええ、おかげでコストパフォーマンスのことにも言及できたんで、新製品ができたと思います。」
膳場:「わたしも使ってみたんですが、すごいですよねー。」
Aさん:「私たちの思いの結晶ですからね。そういってくれると嬉しいです。」
国井:「それでは、エンディングです。」
製品化されたヘッドフォンは瞬く間に全世界に輸出された。
製品名こそつかないが、この商品は全世界で注目の的となり、あっという間に売れた。
この商品をまねたヘッドフォンが各メーカーから出そろい、今では当たり前のようになってしまっている。
しかし、今でも彼らの熱い情熱が作り上げた振動型ヘッドフォンには、
10000個に10個の割合でAをはじめとする開発者の名前がイヤー部分に刻まれた限定モデルが、あるという・・・。
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