〜世界を震撼させろ〜
振動型ヘッドフォン開発の奇跡



エーーーーーックス・・・

(トモロヲっぽい人の口調で)

東京都港区、ここに世界を文字通り震撼させた人がいる。
株式会社松下電器音楽/音声技術開発部主任A
彼は今まで窓際族といわれながらにして世界を驚かせるヘッドフォン、
「振動型ヘッドフォン」を作り上げた第一人者である。

これは今までにないという発想を一から練り上げた男たちのドラマである。





平成 大不況 (♪かぜのなかのす〜ばる〜 そらのなかのぎん〜が〜)
音楽の 壁 (♪みんなどこへい〜った〜 みおく〜られることもなく〜)
重低音への こだわり (♪そうげんのペガサス〜まちがどのヴィーナス〜)
削られる 予算 (♪みんなどこへい〜った〜 みおく〜られることもなく〜)
難航する 振動装置(♪ちじょうにあるほしをだれもおぼえていない ひとはそらばかりみ〜てる〜)
技術の 結晶(♪つばめよ〜たかいそらから〜 おしえてよ〜ちじょうのほしを〜)
世界を 振るわせた(♪つばめよちじょうのほしは〜 いまどこにあるのだろう〜)


プロジェクトX
〜世界を震撼させろ〜
振動型ヘッドフォン開発の奇跡


国井:「みなさんこんばんは。すごいコスチュームでNHKの話題を独占。司会の国井っぽいのです。」
膳場:「クボジュンをけ落として司会の座に着いた膳場っぽいのです。」
国井:「さて、今夜のプロジェクト、見てください、この小ささ。」
膳場:「すごいですね〜。こんなのが震えるんですか〜。」
国井:「ええ。そしてこれを開発したのが彼らです。
    かつて、解雇寸前まで追いやられた彼らが見せた奇跡の逆転劇。」
膳場:「世界を震撼させろ。振動型ヘッドフォンを作り上げた彼らの奇跡。ご覧下さい。」


東京都板橋区。ここにかつて解雇寸前にまで追いやられ、奇跡の逆転を遂げた男がいる。
Aである。彼は音楽に関して並々ならぬ情熱を抱いて入社したが、
上層部の理解と、同僚に恵まれなかったせいもあってか、
配属先はAを満足させるものではなかった。

第三営業部。彼の配属先はそこであった。
音楽製品を売り込むではない、主に携帯電話や電池などの小型の製品を扱う部署である。
いくら研修を受けたとはいえ、Aの周りは専門の知識が豊富な人たちばかりだった。
成績もよくなかった。

A本人:「本当に驚きましたよ。あれだけ、音響関係の部署に着きたいって言ったのに、
    あれですからね。おどろきましたよ、本当に。」

そんなAを癒してくれる物が、音楽だった。
音楽に対して情熱を抱き、音楽と共に生きてきた、人生だった。
移動中の車の中でも音楽を聴き、帰ってきてからも音楽を聴き続けていた。
そんなAにも音楽に対して不満を抱いていた。

「迫力がない」

Aは自宅に高価なオーディオ機器を設置していたが、
携帯用となると、どうしても迫力に欠ける物ばかりだった。

A本人:「確かに携帯用機器の性能の進歩は確かに早いと思いましたよ。
    ですが、こう…何か足りなかったんですよ。何か。」

Aは悩んだ。
どうやったら携帯用の音楽に迫力を持たせることができるのか。
営業中も悩んだ。
家でも悩んだ。

そこに取引先の企業のBから質問を受けた。

「Aさん、そんなに何をお悩みなんですか?」

Aは営業中にこんな質問をするのはと質問をためらった。
Bは並々ならぬAの悩みを見るに見かねてしつこく尋ねた。

B本人:「確かにあのときのAさんは半端じゃないくらい落ち込んでいたというか、
    悩んでいた見たいなんですよ。で、ああこれは普通じゃないなと思ってですねえ、
    聞いてみたんですが(笑)」

AはBに心中を告げた。
Bの反応は、以外だった。
BはAの考えを全面的に肯定した。
自分も携帯用のオーディオには迫力が足りないと思うと、言った。

ここで密かにAとBの計画が、始まった。







(ここいらで、小休止を取るといいですよ。)
ではしばらくマターリしてて下さい。


  ∧_∧
 ( ・∀・)
 (つ且と)
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 (__)_)









(スタジオ)
国井:「すごいですね〜。四六時中音楽を聴く。よほどの音楽好きでないとできませんよね。」
膳場:「ですからあそこまで悩めるんでしょうねえ。」
国井:「では、次はいよいよ製品の完成です。」


AとBは連日、仕事が終わってからミーティングを繰り返した。
時には徹夜で仕事に挑んだときもあった。
AとBはその時も、音楽を聴いていた。
Aは営業の足を生かし、自分の意見に同調してくれる人を募り、
そのプロジェクトの人数はいつしか10人に、なっていた。

連日に及ぶ会議の末、一つの結論が出た。

「携帯用の音楽に迫力がないのは、振動にある。」

Aが出した結論だった。
確かに、イヤホンやヘッドフォンでは、家庭用のウーファーの振動は出ない。
しかし、その振動の迫力をだすためには相当の音量を必要とする。
音源と耳との距離が近すぎる携帯用ヘッドフォンだと、あまり音量を上げることはできない。
しかし、音量を絞ると迫力が出ない。

全員が、悩んだ。

その時、Aの会社の携帯電話下請け業者のCが言った。

「振動がないなら振動させればいい」

全員が、驚いた。
その意見にその場に居合わせた全員が一つの光明を見いだした。

早速、Aの同僚、Dが図面を引いた。
携帯用のヘッドフォンに収まるサイズの振動装置の割り出しを急ぐためだ。
大きさ、5mm。
絶望的な数字だった。
現代の大きさを考えても最高で10mm。
どう考えてもヘッドフォンに搭載できる大きさではない。

D本人:「さすがに図面を引いて愕然としましたよ。
     こうもうまくいかないものなのかってね。」

しかし、Aの頭にはあるアイディアが浮かんでいた。

「携帯の振動装置を流用できないだろうか。」

翌日、Aは早速携帯電話の振動装置を取り出して寸法を測った。
大きさ、6.5mm。実用に耐えるサイズである。
しかし、ヘッドフォンには収まらなかった。

計画は頓挫した。
自分たちの給料からだしている開発予算も底をつき、
何とか会社から了解をもらい、製品化しないと計画自体が頓挫する。
それだけはさけたかった。
皆の心に不安がよぎった。

そのとき、Dが提言した。

「ヘッドフォンに納めなきゃいいんですよ。」

Aは今後この製品がたどるべきビジョンに確信を持った。
形態は普通のヘッドフォン、ミニプラグの部分近くにバイブレーション機能を持たせ、
その信号をリード線を伝わらせて振動させる。
技術的な部分させクリアできれば製品化できる。
AはBに尋ねた。
Bは言った。

「それならうちがやりますよ。」

一週間後、私財をなげうっての試作品が完成した。
ヘッドフォンから延びる振動のコントールユニット。
重低音にシンクロして振動するイヤーパッド。
ほどよく高級感があり、携帯性に優れるアーム。
唯一の欠点は振動のために別途電池を必要とすることだったが、
プレーヤーの電池の持ちをよくするという点で評価される物だった。

Aは早速、新商品のプレゼンテーションにこぎ着けた。
プレゼンテーション開始当初は出席者全員が一営業マンに何ができると高をくくっていた。
しかし、プレゼンテーションがすすむにつれ、出席者はその製品のすばらしさと、
なによりAの熱意に納得し、すぐに開発の手続きが取られ、Aはその責任者に抜擢された。
一ヶ月後、新製品が誕生した。

VMSS。バーチャル・モーション・シンクロ・システムの名前を冠した新型ヘッドフォンの誕生である。


(スタジオ)
国井:「さて、本日はAさんにもお越し頂いております。」
Aさん:「初めまして。Aです。」
膳場:「いや〜、やっとやりましたね!」
Aさん:「ええ、もう感無量ですよ! 初めて認められたというか、やってやったというか。」
国井:「素晴らしい技術と発想ですよね。携帯電話の物を流用するって言う。」
Aさん:「ええ、おかげでコストパフォーマンスのことにも言及できたんで、新製品ができたと思います。」
膳場:「わたしも使ってみたんですが、すごいですよねー。」
Aさん:「私たちの思いの結晶ですからね。そういってくれると嬉しいです。」
国井:「それでは、エンディングです。」


製品化されたヘッドフォンは瞬く間に全世界に輸出された。
製品名こそつかないが、この商品は全世界で注目の的となり、あっという間に売れた。
この商品をまねたヘッドフォンが各メーカーから出そろい、今では当たり前のようになってしまっている。
しかし、今でも彼らの熱い情熱が作り上げた振動型ヘッドフォンには、
10000個に10個の割合でAをはじめとする開発者の名前がイヤー部分に刻まれた限定モデルが、あるという・・・。


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